光る模型


はじめに

科学館や博物館にいくと、ボタンを押せば随所が光る模型をよく目にします。あれって作れないのだろうか…とおもったので、つくってみました。案外簡単に作れますよ。

マウスカーソルを写真にあわせると、
ディープトウ(無人海底探査機)のライトが灯ります。ピカー。


海底電気探査について

2006年の海洋研究開発機構一般公開にあわせて、海底電気探査の模型を公開しました。海底電気探査は調査船「かいよう」KY05-08航海(2005年夏)で初めて実施され、海底より下に分布するメタンハイドレートの発見に貢献しました。(詳細は こちら >>  )

調査の様子の模式図。海底に電気を流して、
電気抵抗の高い「メタンハイドレート」のありかを探ります。


海底電気探査の模型について

完成した模型は次のようです。製作日数は2日(2名)です。極力上のマンガのイメージに似せてみましたが、メタンハイドレートの部分を地層中に作る時間がなかったのが残念。また水面も「水の素」などでそれらしく見せたかったのですが、今回は断念。

模型全体は古い木箱2つを組み合わせて作っています
中央のボタンを押すと、模型の各部が光ります。

ディープ・トウ部分の拡大。古い電池に色を塗って耐圧容器に。
フレームは細いビニルチューブに針金を入れたものを曲げて加工。
こうすると、自由に細工できるうえに、針金のデコボコが気にならなくてよい。

深海魚たちは、その昔、とある500ccペットボトル飲料についていたおまけ。
この模型のためにネットオークションで買い集めました。
地層や海底は発泡スチロールに色を塗ったもの。意外にそれらしいです。

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模型作成の詳細については、本ページ末尾の「作成日誌」をご覧ください。


模型を光らせてみる

ボタンを押すと、模型の各部が光ります。ボタンそのものも光ります。ケースは汎用のプラスチックケースに穴を開けてボタンを取り付けました。

  • 白ボタン:調査船につけたいくつかのLEDが光る+長く押し続けると、あるLEDの色が虹色に変化していく。
  • 青ボタン:ディープ・トウの前方のライトが灯る。
  • 緑ボタン:地中浅くに電気が流れる様子を再現
  • 赤ボタン:地中深くに電気が流れる様子を再現

マウスカーソルを左の写真に合わせると、緑ボタンや赤ボタンを押したときのイメージになります。実際にはチカチカと点滅してます。
 
 
 
動画も用意してみました。   >> 
(AVIファイル:13MB)
音声、出ます。喜びすぎですね。

 

模型をどう光らせるか悩みました。はじめは市販の発光ダイオード(LED)の電飾セットを使おうかと思いました。クリスマスのころに、家や街路樹に巻きつけて光らせるアレです。ただ、模型に組み込むにはLEDが大きいので、同じようなものを電気パーツで自作することにしました。ちょっと調べてみると、LEDはある規定の電圧でないと綺麗に光らないのですが、それ以外は難しいことはなさそうです。

各LED発光回路に関して、下記に回路図を紹介します。LEDにかかる電圧は、可変抵抗で調整してました。12Vは始めは直流電源装置で作ってましたが、その後に海底観測で使用済みのリチウム電池パック(14V程度)と取り替えました。燃えてしまうこともなく、問題なく動作しています。

【白:調査船】
  • 7色LED
    SANDER製 SDL-10N3RGBW(Ø10)
    ※IC内臓。長押しすると徐々に色が変わる。
  • 赤色LED
    SANDER製 SDL-5N3TRWD-A
    (赤色)
    ※ICなし。本来は点灯しっぱなしなのだが、7色LEDが変色時に負荷変動するために、この赤色LEDも明滅している。思わぬ効果。
  • 可変抵抗
    CTS製 262UR102B (0.15W, ~1KΩ)
  • 薄型照光式押しボタンスイッチ
    三和電子製  OBSA-30UK-W-1F161 (白色)
 【青:ディープトウ】
  • 黄色LED
    SANDER製 SDL-5N3TY
  • 可変抵抗
    CTS製 262UR102B
    (0.15W, ~1KΩ)
  • 薄型照光式押しボタンスイッチ
    三和電子製  OBSA-30UK-B-1F161 (青色)

【緑:地下浅い電流】
  • 緑色LED
    Kingbright製 L56BGD
    ※IC内臓。点滅する。
  • 可変抵抗
    CTS製 262UR102B
    (0.15W, ~1KΩ)
  • 薄型照光式押しボタンスイッチ
    三和電子製  OBSA-30UK-G-1F161 (緑色)

【赤:地下深い電流】
  • 赤色LED
    Kingbright製 L56BHD
    ※IC内臓。点滅する。
  • 可変抵抗
    CTS製 262UR102B
    (0.15W, ~1KΩ)
  • 薄型照光式押しボタンスイッチ
    三和電子製  OBSA-30UK-R-1F161 (赤色)

船の模型について

簡単そうで意外に難航したのが船の模型です。当初は研究所内にある模型を借りたり、プラモデルなど市販の模型を使用することを考えていましたが、あまりよいものがありません。探してみたところ、ペーパークラフトでちょうどよいものがありました。

提供元:国土交通省 近畿地方整備局 神戸港湾空港技術調査事務所
      http://www.pa.kkr.mlit.go.jp/kobegicyo/sempaku/pc.html

架空(将来)の海洋環境整備船のようですが、実際の調査船「かいよう」にそっくりで、ちゃんと双胴船になってます。

作成中の様子。

紙はちょっと上質の硬い物を使用しました。

完成したもの。

船の中央には7色LED、
4角には赤色LEDを配置。

写真ではわかりにくいですが、
双胴船になってます。


おわり